お遍路をしていると、地元の方や同じお遍路の方から、お金や食べ物、場合によっては宿泊場所を提供されたりします。
このことを四国お遍路では、お接待、と呼んでいますが余程の事情が無い限り、拒否することはいけないとされています。
私も何度かお金をいただいたり、食べ物をいただいたことがありますが、実はお返しする必要があります。
とは言え、奉仕作業で返すのか、と思われがちですが、お遍路さんがお接待を受けた場合には、納め札を渡すと言うことになっています。
では、その行為にはどのような意味があるのか解説していきます。
お遍路で回る方は参考になさると良いでしょう。
お接待という慣例
お接待は、お遍路さんに対してお金や食べ物を提供する行為を言いますが、実は親切心からではありません。
数十年前には、乞食と呼ばれる人が、家々を回っては恵んでもらっていましたが、あくまでかわいそうだからとかいう親切心からお金などを渡していました。
今ではこのような行為は法律で禁止されているので、めっきり見なくなりましたが、今でも近所でそれらしき人をたまに見かけますね。
お遍路さんは基本的には修行を行っているのであり、ホームレスのようにその日暮らしの生活をしているわけではありません。
(一部ホームレスお遍路、と呼ばれる方もいるのは事実です)
お遍路さんに対してのお接待には、弘法大師様への功徳であると言われています。
つまりお遍路さんに、お接待をすることが功徳になり、自分のご利益にも繋がるという考え方です。
とはいえ、そんなことは気にせず、本当の親切心からお接待をしてくれる方もいます。
四国だけでなく、全国を旅したことがある方なら経験があると思いますが、食事をご馳走する、家に泊まっていきな、と言われることは時々あるでしょう。
四国意外にも、お接待と言う名ではなくとも、似たようなありがたい行為はよくあります。
お遍路さんに込められる思い
お遍路さんに対してのお接待には、もう一つの意味があります。
それは、自分の代わりにお参りをしてください、お遍路めぐりをしてください、という意味が込められている場合です。
お遍路めぐりをする前に呼んだ本に、お接待のことは書いてありましたが、ただのご好意としか思っていませんでした。
しかし、一度お年を召したおばあさんから、私は回れないので代わりにお願いします、と言われ、お接待の意味が理解できたことです。
このように代わりに回って欲しいという意味も込められているので、お接待は基本的に受けるようにと言われています。
なお、このような願いが込められていることから、作法としてはお接待を受けたら納め札を渡すことになっています。
その際に、南無大師遍照金剛と唱えて、渡すのが礼儀となります。
場合によっては、名前や願い事が書かれたお札を渡されますが、その方の代わりに、必ず札所のお札入れに収めるようにしましょう。
最近では
と、このようにお接待されたらお札を渡すのが、正式な作法ですが、最近では、そこまでしなくても結構です、と言われる場合があります。
要は、お接待とは言っても、休憩所の意味合いで行っているので、気にしなくて良いですよ、と言う事です。
確かにお接待をされた際に、お札をお渡ししたいのですが、というと、別に良いですよと返される場合もあります。
一応一通りお伺いはしますが、お接待小屋ならほぼ不要、個人やご老人の場合は必要と考えた方がいいでしょう。
四国お遍路は、別名霊場めぐりとも言われますので、信仰心は強いと考えるべきです。