お遍路めぐりをする際に、札所であるお寺の境内に入ることになりますが、厳密には作法が決まっています。
神社で言う、二礼二拍手などのも似ていますが、お遍路のお寺である真言宗派にも存在します。
とはいえ、難しいものではありませんので、何度か繰り返しているうちに覚えてしまうでしょう。
今回は、お遍路めぐりをする際の作法について解説していきたいと思います。
目次
作法としての流れ
作法の流れですが、簡単に説明いたします。
①山門をくぐる
お寺に着くと山門がありますのでくぐることになりますが、正確には山門の手前で足を止め一礼します。
②手を洗い口をすすぐ
洗い場にてひしゃくを使ってまず手を洗いますが、ひしゃくを片手に持って、もう片方の手を洗います。
次に手を持ち替えて逆の手を洗います。
最後に、口をすすぐのですが、ひしゃくから水を片手の掌に溜めて、その水で口をすすぎます。
後述しますが、口をひしゃくに付けてはいけません。
③ろうそくと線香に火を点ける
ろうそくに火を点け、その火で線香にも火を点けます。
なお、注意点は後述しますので熟読ください。
④納め札とお賽銭を箱に入れる
叶えたいことを書いた納め札と、お願い料(?)となるお賽銭を入れましょう。
⑤お経を上げる
本堂と大師堂の両方にて、読経をします。
なお、それぞれの場所で、③と④を同じように行います。
⑥納経所に行き、納経帳などに記載してもらう
納経帳に納経の証として、お寺の名前を書いてもらったり、ご朱印を押してもらいます。
御御影もいただく場所ですので、忘れずいただくようにしましょう。
因みに白黒が普通ですが、カラーは有料である場合がほとんどです。
⑦山門を出る
山門を出たところで、振り返って一礼します。
ここまでが簡単な参拝の作法となります。
よくやりがちな失敗事例
ひしゃくに口をつける
人の口や息は邪悪なものと言う考えから、水で口をすすぐ場合にはひしゃくに口をつけないのが作法とされています。
というか、知らない人が口を付けるのを見ると、そのひしゃくは敬遠したくなるものです。
作法もありますが、マナーの問題だと思います。
他人が点けたろうそくの火をもらう
ろうそくに火をつける行為は、自分の邪念を払う意味があります。
よって、他人の点けたろうそくの火をもらうと言うことは、他人の邪念をもらうことになるので止めましょう。
線香の火を口で吹いて消す
これはよく聞く話ですが、人の吐く息は不浄なものと仏教では考えられています。
線香の煙は、仏様の食べ物とされますが、それに口をつけるに等しい行為とされ、仏教ではご法度とされています。
多くの方が知っていると思いますので、決してやらないように。
帰り際に鐘を突く
お寺によっては鐘を突いてもよいところがありますが、境内に入って読経の前に行います。
なお、帰り際に思い出したからと言って、鐘を突いてはいけません。
戻り鐘と呼ばれ、せっかく積んだ功徳が消えるとされる縁起の悪い行為とされています。
突くのを忘れたら、そのまま突かずに帰るか、始めからやり直すといいでしょう。
トイレでは輪袈裟を外す
トイレは不浄な場所であるとされていますが、用を足す時には輪袈裟を外して誰かに預けるか、無理ならバッグに入れて見えないようにします。
袈裟はお坊さんが着ている正装ですので、トイレなどの邪気によって穢れてしまうと言う考えから、外すのが作法となっています。
納経帳を先に出す
これは納経帳の意味を知っていればやらない行為ですが、バスツアーなどでは時々見かける行為です。
読経をして、お経を収めたという証として書いてもらうので、正しくは読経した後に出すことになります。
ただ、バスツアーなどでは、何十人分も纏めて出すので先に出しておき、読経が終わったら受け取るようにしているだけです。
ちょっとよろしくないとは思いつつも、旅行行程の都合もあるので、そこは仕方ないのかもしれません。