お遍路をしていると、山の中などの場合、都合よく宿泊場所が見つからないことがあります。
車やバイクなどでしたら、予約したホテルまで簡単にたどり着けますが、自転車や歩きではそうもいきません。
場合によっては、ホテルや旅館のある町まで数時間掛かる、しかもすでに夕方に近いとなれば、非常に焦りを感じることになります。
加えて、歩きお遍路は荷物を軽くするために、テントを持たないという人もおり、その場合はその辺の道端で雑魚寝するしかありません。
公園などのベンチや濡れない場所で寝袋で寝ることになるため、究極の野宿と言えますが、雨や風があるときは、正直寝れたものではありません。
完全に無防備の状態になりますので、強盗に遭ったり、野犬に襲われたりと、いうことも考えられます。
そんな時、誰か泊めてくれないだろうか、と思ったりもしますが、実は四国にはお遍路さんのために無料で宿泊させてくれる場所が存在します。
非常に心細い時に、雨風が凌げるということがいかにありがたいことか、身を以って経験することになります。
現代では家があるのが当たり前ですが、そのような貴重な体験もしてみるといいでしょう。
目次
無料宿の種類
お遍路小屋
休憩所と言ったほうが良いかもしれませんが、お遍路道の脇などに無料の休憩所が設置されている場合があります。
宿泊は認められない場合が多いのですが、怪我をした時や、疲労困憊の時には非常に助かる存在です。
因みに、小学生がお接待しているところがあるようですので、一度訪問してみたいと思っています。
地域の小中学生がいろいろ活動しているところでは、人に対する優しさの面で成長しそうです。
このように地域でお遍路活動を支援してくれる一方で、マナーの悪さも垣間見えます。
私が見たのは、愛媛の国道沿いの遍路小屋だったと思いますが、ゴミが散乱しており酷いものでした。
これをお遍路がしたのか?と信じられませんでしたが、これでは支援などしなくなるのでは?と残念に思ってしまいました。
実際にマナーの悪いお遍路がいるため、やむなくサービスを終了してしまうこともあるそうです。
こんなお遍路では、情けないですね。
善根宿
こちらも地域の方のご好意で建てられているものですが、こちらは宿泊が可能です。
ただし、素泊まりで入浴も期待は出来ませんので、自分で予め済ませておく必要があります。
11番 藤井寺周辺の善根宿周辺には、温泉施設が隣接するので好都合でしょう。
23番 医王寺周辺の善根宿では食事も提供していただける、と聞いたことがありますが、今ではやっていないようです。
なお、殆どありませんので期待しないでいただきたいですが、善根宿を探していると、うちに泊まれば?と普通の家に歓迎してくれる場合もあります。
私は一度声を掛けられましたが、汚れた服装でしたので気が退けてお断りしました。
今思うと、せっかく声をかけていただいたのに、失礼なことをしたなと思ってしまいます。
なお、善根宿のリストがネットでも出回っていますので、利用してみるといいでしょう。
通夜堂
こちらはお寺に併設されている施設で、ちょっとした部屋に畳が敷いてある、というものです。
本来の使い方は名前から分かるように、亡くなった方を安置し通夜を行う場所だったらしいです。
きちんとお寺の住職などに許可を得て使用し、清掃や納経もする必要があります。
当然、食事や入浴施設はありませんので、自分で準備することが必要です。
なお、タバコは指定の場所で嗜み、飲酒はご法度です。
都市伝説として聞くことがありますが、通夜堂にはお化けが出ると噂されているお寺もありますので、興味のある方は一度泊まってみてはいかがでしょうか。
まあ、お寺ですからね、お化けが出てもある意味当然かな、とも思えますが、怖い方は止めておいた方がいいでしょう。
ルールをきちんと守るのは当然
昔は、地元の方のご好意で立てられた無料宿がたくさんありましたが、今ではその数も減って来ています。
理由は、管理する方が高齢などの理由で出来なくなってしまった、というのもありますが、残念な理由というのもあります。
最たるものが、使用するお遍路さんのモラルの問題です。
無料だからどんな使い方をしても良い、と言うわけではなく、使用前には管理人さんに許可を得て、出発前には清掃したり、お礼を述べるなど。
きちんとゴミを持ち帰ることも必要ですし、室内でタバコを吸わない、飲酒は控えるなどホテルでは無いことを認識すべきでしょう。
逆を言えば、このように最低限のルールを守れないがために、お遍路さんはモラルが無いと言われ、止む無く無料宿を閉めてしまうということに繋がります。
ルールとして明確に記載されていなくても、常識の範囲で使わせていただきたいものです。