お遍路めぐりをしていると時々先達さん、と思われる方に遭遇することがあります。
とはいえ人数が少ないため殆ど見かけず、私もそれらしき方を見かけたのは2回ほどだけでした。
お札を入れたところを直接見ていなかったので断定できたわけではありませんが、格好や見た目、年齢からして、いかにも慣れているなというオーラが出ているためです。
因みに、お遍路めぐりをする際に、回った回数によって使うお札の色が違いますが、先達さんと呼ばれる方は、色が付いている札を使うので訪れたことが分かります。
本堂などのお札入れを見ると、赤金銀などのお札が入っていることがあり、これだけで数十回回っていると言うことが分かるでしょう。
今回はこの先達さんについてはもちろんですが、似たような方についても解説していきます。
先達さんの実際
先達さんとは、何十回も回っているお遍路さんに敬意を表わした呼び方ですが、職業としている方も存在します。
体が不自由だったり、何らかの理由がある方は自分でお遍路めぐりをすることが出来ません。
では、諦めなさいというのは、あまりにも酷い話ですし、弘法大師様の性格も疑ってしまいます。
これを解消するため、お金をもらって代わりにめぐる人のことを職業お遍路と呼んでいます。
昔は多く存在しましたが、今でも数は少ないながら活動している方もいます。
純粋に自分のためにお遍路めぐりをし、托鉢(各家を回りお金や食べ物を与えてもらう)をしながら回っている方もいると聞きます。
このように何度も回れる方は、凄いなと感心させられるでしょう。
似ているけど違う人たち
自分のため、人のためにめぐっているお遍路さんがいる一方で、違う人たちがいます。
以下に挙げますが、ちょっとニュアンスが異なるようです。
エンドレスお遍路
人にはいろいろな事情がありますし、長い人生を生きていれば仕方が無いことだと思います。
いろんな事情を抱えながら、家族の元に帰れなかったりして、自分一人で生きていくことを決め一生めぐっている人もいると聞きます。
そのような方をエンドレスお遍路と呼びますが、文字通り死ぬまで回るのでしょう。
場合によっては、誰にも看取られないことも覚悟しているのかもしれません。
ホームレスお遍路
いろんな地域の橋の下などに住んでいる(?)ホームレスさんのお遍路版です。
文字通りホームレス生活を送り、寝泊りする場所を移動しながら、札所をめぐって生活しています。
四国には無料のお遍路宿が点在しますが、場所によってはホームレスお遍路のたまり場になっていることもあります。
殆どは大人しく暮らしている方だとは思いますが、一部は縄張り意識を持っているため、他人を排除しようとしたり、寄せ付けない雰囲気を出したりします。
一度だけ見ましたが、見た目は普通のお遍路さんですが、ゴミを漁っているのを見てドキっとしたことがあります。
そそくさと、避けるようにして逃げた記憶がありますが、近寄りがたい感があります。
触らぬ神に祟り無しでしょうか。
指名手配お遍路
四国はお遍路文化が根付いているためか、お遍路の格好をしていると誰からと無くお接待を受けることが多々あります。
見ず知らずの人に対して警戒心が無いのを危惧すると同時に、とてもありがたく感じる瞬間でもあるでしょう。
と普通のお遍路さんは、ありがたいと感じますが、これを逆手に取る人もいます。
去年、拘留されている警察署から逃げて、途中の道の駅で万引きをし捕まった人がいましたが、いかにも旅をしている格好で移動していました。
それだけなら、やましいことをしたのだから逃げていると思えますが、よりによって四国でお遍路の格好をしていたようです。
犯罪者がお遍路めぐりをしているように見せかけ、隠れ蓑に使っているという事実も明らかになったわけですが、いろんな人からお接待を受けていたようです。
当然ながら、騙された気持ちで一杯で、詫びを入れに来いと怒っている方もいました。
ただ、この一件で、四国を回っているお遍路さんを同じような目で見ないか、ちょっと心配です。
お接待も四国ならではの文化ですし、人のありがたさを知る機会でもあったので、このようなことに利用されるとお遍路文化も衰退する可能性もあります。
お遍路する人は全て善人とは限りませんが、四国の文化としては残ってほしいと願います。