お遍路めぐりは、現代では殆ど車やバスなどの移動手段で行われています。
ある統計によると、年間4~5万人がお遍路を行っていますが、バスなどのツアーで巡る方が7割強。
車やバイクなど自分で運転して回る方が約2割で、残りの1割弱が自転車や歩きでめぐるお遍路さんということになります。
人数にして自転車お遍路が1000人ほど、歩きお遍路が300人ほどと言われていますが、このように現代では自分の足で回ることは少なくなっています。
しかし、どのような手段でも、一箇所でも札所を回ろうとする真剣な気持ちがあれば、功徳になる、ご利益があると考えられますが達成感についてはどうでしょうか?
今回は、自分の体力を使ってめぐる回り方について、感じる魅力や達成感、気持ちなどの変化について解説していきます。
自分の体力を使うことで分かる一番の違い
バスなどのツアーが一般化している現代では、旅行会社の商品として組まれている場合が多い印象です。
このめぐり方がいい悪いは別として、私はそれでも良いと思います。
車が無い時代とは違い、歩き一択という状況ではありませんので、そちらの方法に流れることも自然だと思います。
それに、現代では皆さん忙しいですし、人それぞれ事情と言うものがありますので、効率的に考えると非常に有効でしょう。
その方法でめぐり、心が洗われた、改心できた気がすると感じただけでもご利益と考えることが出来ます。
その一方で、あくまで自分の体力を使って移動しないと、利益が無い、功徳を積んだことにならない、と考える方もいます。
私もこの考えを持ってめぐりましたが、非常にキツイものでした。
坂道などでは、息も絶え絶えになり、荷物の重さもあってか、途中で荷物を捨てたくなることもしばしばでした。
それに、夏の暑さから軽い熱中症になり、途中から意識も朦朧とし、何のためにこんなことをやっているのか?と自問自答することも。
常に自分との戦いのような感じになっていましたが、終わった後には何かは分かりませんでしたが、自分が変化したと言う感覚があり、お遍路をしてよかったと感じました。
達成感という魅力を感じる意味では、自転車や歩きで行うことは非常に有意義でしょう。
達成感はツアーなどに比べると段違い
私は、仕事をしているということで、区切り打ちで回っていました。
最初の区切り打ちは、GWを利用して徳島県の札所を回りましたが、当時太っていたこともあり登り坂は地獄でした。
荷物もリュックに何でもかんでも詰め込んで、15キロほどになり、余計にキツく感じたものです。
それに数日間で筋肉が付いたり、痩せたりということは無いため、たった数日間でしたがフラフラになりながら行っていました。
やっとのことで23番薬王寺に着いてからは、帰るまでの猶予が1日ありましたが、早々に切り上げ帰ってきてしまいました。
もう続けることは難しい、次にお遍路めぐりをすることは無いだろうな、と半ば他人事のように考えていましたが、自宅に帰ってから”このままでは何も変わらない”と感じるようになりました。
夏休みにリベンジすることを決め、体重を10キロ落とし、筋肉も付け、荷物の重量も落とし、といろいろ対策を取ることになります。
結果、夏にめぐったときには体も軽く、疲労も感じにくくなったことで、結願することが出来ましたが、達成感はひとしおでした。
台風の中を移動したり、暑さで倒れそうになったり、毎日キツイと感じることばかりでしたが、続けてよかったと思っています。
よくお札に書いた願いが叶った実感は無いが、自分の何かが変わったと言う方はたくさんいます。
願いを叶えるためにお札に書くのですが、お遍路によってその願い自体が叶うのではなく、自分自身が変わる事で願いを叶えられるようになると思っています。
ご利益と言う点では、ツアーなどと同じかもしれませんが、達成感により自分に変化が起こるという魅力は、自転車や歩き以外では感じられないでしょう。