お遍路はなぜ白装束か?

お遍路めぐりをする際に、服装を気にすると思いますが、なるべくなら一目でお遍路さんと分かるようにしておくと良いでしょう。

とはいえ、費用の関係もあったりするので一概に上から下まで正装しないといけない、とは限りません。

頭には菅笠、白衣を着て首には輪袈裟、靴も足袋や藁ぞうり、加えて金剛杖を携えるという出で立ちはなかなか出来るものではありません。

ということで最近では簡素化し、白衣を着て、輪袈裟を掛ける程度で回るというスタイルも見かけます。

私の場合は、暖かい時期と言うこともあったため、上はおいずる(白衣の半そで版)に輪袈裟で回り、下は短パンにジョギングシューズという格好でした。

今ではこのように簡素化した格好でも、特に咎められることは滅多にありませんが、ルーツを知っておくべきかと思います。

今回は、正装とされていた白装束の意味と、昔の状況について解説していきます。

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白装束はあの世に行く正装

親戚など身内の葬儀、火葬場に参列した場合に亡くなった方を直に見ることになりますが、必ず白い服を着ることになります。

家族ですと、亡くなった後にご遺体に白い服を着せて安置することになるでしょう。

この服装を白装束と呼び、仏教では三途の川を渡りあの世に行くための正装とされます。

私がこれを始めてみたのは中学生の時でしたが、なぜ白装束にするのか理解できませんでしたが、穢れ無き姿で、成仏(あの世に行けること)できるようにとの思いをこめてのことのようです。

お遍路でもこの白装束で、たくさんの札所を回るのが正しいのですが、途中で倒れてもあの世に行く正装をしているためすんなり行ける、という名残となります。

ただ、現代ではお遍路に行ってそのまま亡くなるとは考えにくいので、少しでも昔の作法に則ってということになるでしょう。

未だに信仰心の深い方は、全身白ずくめという方もいらっしゃいますが、お年を召した方に多い印象です。

たまに旅行雑誌などに、白装束を着たモデルさんが写っていますが、あくまで撮影用ということでそんなに見かけません。

場合によっては自分だけ、ということにもなりますので現地に行ってよく周りを見てから購入しても良いと思います。

1番の霊山時ならお遍路グッズも揃っているので、ここからスタートするのがベターでしょう。

昔は死ぬ可能性が高かった

元々は白装束に菅笠、金剛杖がデフォルトでしたが、これには理由がありました。

どれも死ぬことに関係していますが、白装束はあの世への正装、菅笠は棺おけの蓋、金剛杖は墓標や卒塔婆という意味がありました。

つまりいつ死んでも、その場で成仏できるようにと準備していたからと言うことになりますが、かなり過酷な旅であったようです。

いくつか事例を挙げますので、少しでも当時の苦労が理解できると良いと思います。

お遍路転がしの存在

今でもお遍路転がしと呼ばれる難所が所々に残っていますが、今のように整備された道ではないので、相当な悪路だったようです。

ゆえに長雨が降ったりした場合は、地盤が緩み、がけ崩れや落石などが発生しやすく、巻き込まれて亡くなることも想像できます。

それに、足を滑らせて滑落したりすることも考えられ、楽なことではなかったと考えられるでしょう。

ということで、今よりはるかに危険な旅で、修行と呼ぶのにふさわしいものだったに違いありません。

便利な道具など無い時代

今では、ちょっと小腹が減ったからコンビニに行こうとか、インスタント食品があったりと、思い立ったら気軽に食べることが出来ます。

でも、昔はご飯を食べるにも、自分で火を起こし、米などを炊かないと食べられない時代ですので、お遍路めぐりをしている時は大変だったでしょうね。

運よく、宿場町にたどり着ければ、温かい食事が食べられたり、お風呂にゆっくり浸かることが出来ますが、そう都合よくいかなかったでしょう。

必要な時に必要なものが手に入らない時代だったからこそ、死を覚悟しながらのお遍路めぐりだったに違いありません。

病気や怪我は致命的

一番命を落とす原因はこれでしょうね。

途中で病気になったり重傷を負ったりしても、現代なら余程の山奥で無い限り、電話一本で救急車を呼ぶことが出来ます。

当然救命率も上がり、ちょっとしたことでは亡くならないでしょう。

でも、昔なら大変なことで、食あたりでも脱水症状になったり、骨折でもどうすることも出来ず衰弱するなどして、死に至ることは十分考えられます。

このように、昔はちょっとしたことでも命を落とす可能性があり、死を覚悟しないとお遍路は出来なかったのでしょう。

いつ死んでもいいように準備していたのは、至極当然のことなのかも知れません。

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