四国お遍路をする場合、納経帳というものを持参して回ることになりますが、どのような意味を持つか知っていますでしょうか?
これはその名前からも分かるように、札所と呼ばれるお寺にお経を納めた証を残すための帳面になります。
各お寺を回ると、お寺の名前、梵字を書いてもらい、御朱印と呼ばれるそのお寺独特の印鑑のようなものを押してもらう事になります。
これを全ての札所88か所、加えて最初に回ったお寺、高野山の金剛峰寺と奥の院を合わせると完成します。
納経帳が全て記入されたことで、達成感が得られることも重要ですが、実はもっと重要な意味を持ちます。
それは、仏教では納経帳はあの世に行くため積んだ功徳の証、つまり通行手形とみなされるほどのものになります。
今でも四国お遍路をしたことで積んだ功徳の証として、亡くなった時に棺桶に入れてもらうことにしている方もいらっしゃいます。
それだけ仏教においては重要な意味を持つものですので、粗雑に扱わないようにしたいものです。
さて本題に入りますが、納経帳以外にも、判衣、御影帳、御朱印帳を持ってまわる方もいらっしゃいます。
どれも似たようなものですが、御朱印帳を中心にそれぞれ解説して行きます。
御朱印帳とは
まず御朱印とは、お寺で納経した際に押してもらう印鑑のようなものですが、納経帳には梵字とともに押してもらう事になります。
納経帳とは別に御朱印帳と呼ばれるものがあり、御朱印のみをひとつにまとめるものです。
これも功徳を積んだ証として、あの世に渡る際の通行手形となりますので、きちんと保管し棺桶に入れるといいでしょう。
ここで御朱印に詳しい方は気が付いたと思いますが、お寺だけでは無く、神社でも御朱印をいただくことが出来ます。
こちらは参拝した記念ということで押していただきますが、お遍路用とは別に用意しておきましょう。
因みに、信仰崇拝の対象はお寺の場合は仏様、神社の場合は神様となっており、それぞれ唱える物はお経と祝詞という違いがあります。
余談ですが、仏壇が置いてある家では、仏壇と神棚は向い合せてはいけないとされますが、ケンカになるからという理由かららしいです。
私は家人が亡くなった時に住職からこのように言われましたが、ちょっと不思議に感じたものです。
判衣と御影帳
判衣
お遍路めぐりをしている時に、納経帳に記帳してもらいますが、他の方が白い服に御朱印を押してもらっているのを見たことがあるでしょう。
これは判衣と呼び、納経した証として白い衣に御朱印のみを押していただきます。
納経帳と同じような意味を持ち、あの世に行く際の通行手形となりますが、棺桶に一緒に入れるか、亡くなった方に着せることになります。
お遍路さんが着ている白衣と似ていますが、要は修行を積んだと言う意味を持ち、あの世へより行きやすい服装と言う事になります。
御影帳
納経の際に、御姿という仏様が描かれた小さな紙をいただくことになります。
これは、ご本尊に祭ってある仏様を描いた写しになりますが、ご本尊を普段は見ることが出来ないからという理由からになります。
これも集めて大事に保管しておくことになりますが、枕元に置くなどするとご利益があるとされています。
ただ、小さな紙ですので、袋などに入れておくと破れた拍子に散らばったりしてしまいます。
これを防ぐため、一冊の手帳に入れられるようにしたものが御影帳と呼ばれています。
なお、お寺で無料でいただけるのは白黒のものですが、有料でカラーバージョンをいただくことも出来ます。